クレームはお客様からだけとは限らない。飲食店店長を苦しめる従業員からのクレーム。その2

こんにちは。当ブログにご来店頂き、誠に有難うございます!
さて、前回に引き続き、従業員からのクレームのお話です。
まずは復習。従業員からのクレームには色々ありまして…。
1 威圧、恫喝、暴言
2 暴力行為
3 人格否定、無視
4 シフトに入れない
5 無理やり商品を買わされた。
6 店の備品の破損代金を徴収された。
7 理不尽な解雇、減給。
8 勝手なシフト組み。欠勤すると罰則。

では、一つ一つ説明していきますね!

1,威圧、恫喝、暴言

とにかく、大声で怒鳴る、煽る、なじる。「馬鹿野郎」「死ね」は当たり前。本当によく使われていたワードだったと思います。特に調理場の職人系。未だこの当時の癖が抜けない方々は数多く、結果、飲食業、調理人のイメージダウンにつながりました。ひいては今現在の人手不足に繋がっていくわけですが、皮肉にもこの人手不足という緊急事態が改善を生みました。社員、管理者への企業側からの従業員への言葉遣いの指導、パワハラ社員への罰則、処分。これらの地道な努力、というかそれらを放置した企業は必然的に慢性的な人員不足に陥り、事業継続が出来なくなって行く為、結果としてきちんと向き合った企業が残りつつあります。

さて、実際にこれらのクレームが店長ら管理者を飛び越えて、本社に言った場合、の対処法ですが、基本的に当事者の店長は直接クレーム主とかかわるのはNGです。

そもそも店長じゃ話にならないから本社に行ったのです。後は本社の担当者の対応にお任せして、ひたすら処分を待ちましょう。ただ、処分を待つ間、そのクレームに関して反論があるのであれば、自身の反論は報告書という形で書面に残しておくと後程説明を求められた時に有効です。これは、本社からの聞き取りなどの時に反論すると、感情的になったり、説明が二転三転すると信憑性を失ったりするので、きちんと冷静な時に書面で、かつ時系列に書いた方がいいと思います。そこで注意したいのは。自分を保身するあまり、自身を正当化しない事、ですね。怒る理由や行き過ぎた指導には何か理由があったのでしょうが、ここで問題になっているのは、相手がどうだったか、じゃなく、怒鳴った方のその「言い方」なのですから。

2 暴力行為

 なにも殴ったりする話ではありません。いや、昔は実際に鉄拳制裁もあったようですが。さすがにそれはパワハラを超えて「傷害罪」になりますので絶対ダメです。

ここで言うありがちな飲食店の暴力行為は、見えてないところで軽く足蹴りをする、とか、肘で脇腹を突く、とかそういった行為です。なぁんだ、その程度か、と思った方、既に古い考え方の人の仲間入りです。たったそれだけの事でも、怒られ慣れてない若い新人やお互いの信頼関係が築けてない状態ですと、これですら相当な暴力行為です。

こんなことしなくても相手には口で話せば伝わります。やめましょう。実際、この行為を高校生に行い、その高校生スタッフの両親から子供がそれ以来ふさぎ込むようになったとクレームが寄せられたケースがあります。

3 人格否定、無視

 威圧や恫喝系が見られなくなった代わりに、最近多いのがこの人格否定、無視、と言われるサイレント系パワハラです。うかつに注意するとパワハラと言われてしまうので、今度は別の方法で圧力をかけるようになりました。早い話が、「陰湿化」してるわけですね。

「無視」これはその言葉の通り、一切のコミュニケーションをしない、という事です。それじゃ仕事になりませんよね。なので必要最小限の指示しか口を開きません。挨拶も当然無しです。そんな扱いをずっと受けていれば、将来に夢が持てませんよね。で、結果辞めて行く訳です。メンタルがよっぽど強くない限りは。

「人格否定」これはかなり粘着質です。なにしろ仕事の事で否定するのではなく、その人の性格、本質を否定するのですから性質が悪い。「根が暗い」「接客に向いてない」「発想が貧困」「性根が腐っている」「人間としてなってない」

尚、「おまえってゆとりだな」も人格否定になります。なにしろパワハラのそもそもの定義は、「相手がどう思ったか」が一番重要なのですから。

4 シフトに入れない。

 入店時に契約、又は約束していた程度のシフトに入れてもらえなかった。なのでやめざるを得なくなった。というクレームもあります。

 実際に書面で週○○時間と契約しているのであれば、当然契約違反は店側なので、その分のシフトは補償する義務はあるでしょう。ただ、そうでない場合、例えば長期間、10年レベルで週5回入っていたアルバイトが突然一方的に週2回とされれば、それは法的にもアルバイトに正当性はあるかも知れませんが、基本的には、「店側の都合で働く」からアルバイトなのであって、必ずしもシフトを補償する義務はありません。

 しかも、店には繁忙期もあれば閑散期もあります。店側がそれでもその人に辞めてほしく無い場合、大抵はその人に限りシフトを優先します。若しくは納得してもらえるまで理由を説明するでしょう。

 それを一方的に、という事はそのシフトを減らされた人にも何かしら理由があるはずなのですが・・・・。

 対処法としては、契約的に問題が無いようであれば、そのシフトの判断は店長裁量のはずです、毅然と「経営上、運営上の理由」で突っぱねて良いと思います。

5 無理やり商品を買わされた。

 おせち料理、クリスマスケーキに代表される、飲食以外の商品販売。これらには店舗の販売個数のノルマがある場合が多く、客が奪い合うくらい売れまくる商品なら問題無いのですが、大体の場合、売れません。

結果、従業員に協力をお願いするのですが、安い買い物じゃないのでそう簡単に首を縦には振りません。

と、ここであきらめれば良いのですが、中にはそれらを各個人のノルマとして、売れなかった場合は従業員に買取させるお店も残念ながらまだあります。

 このクレームが本社に行った場合、当然の事ながら本社は店長を守ってくれません。むしろ叩かれます。だってそんな指示は出してないですから。表向きはね。

 6 店の備品の破損代金を徴収された。

 あるあるなのが、器を1つ割ったらいくら、みたいな罰金制度。今じゃすっかり聞かなくなりましたけど。まだあるところにはあるんですね。ちなみに高価な金額じゃないので裁判にまではいかないと思いますが、仮に裁判沙汰になったら確実に店側が負けます。当たり前のように。

7 理不尽な解雇、減給。

 理不尽な、とはどちらかと言えばあくまでアルバイトさんから見て、でしょうね。人を解雇するのに理不尽な理由はそんなにないと思います。解雇、減給する理由は常に、「悪影響が出るから」「迷惑だから」「指示を守らないから」「協調性が無いから」と多岐にわたりますが、それなりの理由はあると思います。

 

誰もが認めるような優秀なスタッフを辞めさせるはずもなく、減給もしないでしょう。煮もかかわらず、突然辞めたスタッフから本社にクレームが行く場合があります。当然本社側は何の事だか判らないので、店長に具体的な説明を求めてくるのです。

 ですので、対処法としては、止むを得ず解雇に至ったスタッフが発生した場合、何故解雇せざるを得なかったのか、時系列に経過を書面で残し、上司に相談しておいた方がその後の展開はスムーズです。

8 勝手なシフト組み、欠勤すると罰則。

 相手の都合を聞かずに店側の都合でシフトを組む。

むしろそんなに勝手にシフトが組めるなんて羨ましいとすら思います。だってそんな事しようものなら、どんどんスタッフが辞めていきますから。なのでスタッフの都合でシフト組んでますけど、こうなると、常に売上に対して適正な人員を確保、というのが本当に難しいです。なので気持ちはわかります。ただ、考えてください。それで辞めた人間が、余計な仕事を増やしますよ。勿論罰則に金銭的なものは違法です。

 

 

と、悲しいかな飲食店店長、なんのかんの言っても中間管理職です。上から叩かれ、下からは突かれ、しかも今や労働者側の方が労働法に守られ、世論に守られと強いんですよね。その苦労、よくわかります。だからあまり無理しないで、たまには飲んで遊んでリフレッシュしましょう。

 

それでは今日はこの辺で。ご来店、有難うございました。