クレーム対応、やっていいこと悪いこと。

こんにちは。当ブログにお越し頂き誠にありがとうございます。

クレーム…。飲食店店長にとっても頭の痛い問題というか、最早宿命です。何も無く一年が終わるなんて事はまずありえません。大きいもの小さいもの、有難いご指摘理不尽な要求。お店が新しくオープンして5年もすればクレームをまとめただけで文庫本一冊分の小説が出来てもおかしく無いくらいです。

一度クレームが発生すれば、まずは謝罪、商品の交換、返金などの対応、サラリーマン店長であればこれが辛いのですが、会社への報告、そして再発防止の為の具体的解決策の策定。

と、こんな感じのサイクルでクレームと向き合うのですが、昨今はスカットジャパンとかいうテレビ番組などで表現される。

“理不尽なクレーム客=成敗されるべき迷惑客”

の風潮が世間にはある様で、理不尽かどうかの線引きはその場のシチュエーションだったり、内容如何だったりもするのですが、とにかくネットニュースでも、

「飲食店の従業員を客という立場で弱いものいじめする奴は“悪”だ!」

と言わんばかりのニュース、コメント内容。ほら、「ビール持ってこい!」だと一杯千円で「お願いします」だと正規の料金で注文できると書いた張り紙が話題になったばかりですね。そんな風潮のせいか、お客様側からも店にクレームを言いにくい空気感はあります。私にとっては願ってもないことですがね。

ただ、それでもクレームが0になるという事は無く、料理を作るのも、運ぶのも、注文を受けるのもレジをするのも人間ですから、何かしら問題は発生する訳で。まぁ、その辺を自動化しているお店もありますけど。なのでそのクレーム対応に追われるのも仕事の内なのですが、何でもかんでも謝罪と補償をすればいいって問題でも無い様に思います。その境界線は、客観的なものであるか、主観的なものであるか、その2通りでしょう。

客観的クレームとは、明らかに誰が見てもお店に非があるものです。食中毒、異物混入、オーダーミス、調理ミス(生焼け、割れなど)、会計ミス、予約漏れ、頼んだものが極端に遅い、等、100人いれば100人が店が悪いと言える様なもの。これについては真摯に受け止め、謝罪も返金も必要でしょう。又、再発防止に努めなくてはならないでしょう。

問題は、主観的なクレームです。これは人によっては意見が分かれる、どちらかと言えばお客様の感じ方次第とも言えるクレームです。

「そんなの関係無いだろ!客がNOって言ったんだからそれが全てだろ!そうやってどんな小さな意見でも汲み上げることでお店は愛される店になるし、企業は成長するんだよ!クレームをカネで買う企業もあるんだぞ!それだけ客の意見って金言で貴重なんだ!神対応って言葉知らないのか!!クレーム対応次第で企業価値は上がるんだぞ!」

とまぁ、こんな感じで周りは言うでしょう。上司も大体同じことを言います。確かにその通りではありますが、全てのクレームに対応していては、店が疲弊します。それに…、その考え方って、奴隷的な考え方の様に思えるんですね。例えば次の場合はどうでしょうか。

<判断が難しいクレーム1 料理が不味い>

それまで一度も言われたことが無いのに、突然お客様から「なんだこの不味い料理は!」と言われる事があります。話を聞けば、「俺が昔食べたことのある料理は…。」とか「銀座の〇〇に行ってみろ!こんなの犬でもくわねぇぞ!」とか、悪いけど主観的感想のオンパレード。うちの店のレベルがそのナントカという店のレベルに至らないのは分かりました。だからと言って返金する理由にはなりません。ワインの様に一度味見をしてから注文できる店なら別ですが。

<判断が難しいクレーム2 案内が遅い>

店が混んできました。気付けば満席です。なのでそこからのお客様はお待ち頂かなくてはなりません。と、言うことでウェイティングボードを入り口に置き、そこに名前を書いて新規のお客様にはお待ち位頂く事になります。

程なく食事が終わったお客様がお帰りになりました。ところが会計するのが精一杯。料理がまだ運びきれてないので帰った所のテーブルセットが追い付きません。すると、「おい!いつまで待たせるんだ!あの席空いてるだろ!さっさと案内しろよ!」そのお客様の対応をしている暇があったらテーブルセットぐらい出来るだろうに。案内した後、「これだけ待たせたんだから飲み物位サービスしろよ。人手が足りないのは今日が忙しいって予測してないからだろうが。」

さて、何故サービスする必要があるのでしょう。そもそも昼時の一番忙しい時間帯に来て、何分からが長い待ち時間でしょうか?それはお客様の主観なのでは?当然サービスはしませんでした。その代わり謝罪は勿論しました。注文時にも料理提供の時も会計時も。ただ、サービスがなかった事に不服そうでしたが。

<判断が難しいクレーム 3 従業員の表情>

いきなりフロアで呼びつけられて「おい!お前が店長か!なんだこの店の従業員は!暗い奴ばかりで気分が悪い!ちゃんと教育してんのか!」

どうもそのエリア担当のスタッフが男の子だったのですが、表情が暗く感じた様です。確かに愛想がいい部類ではありませんが、その代わり綺麗な敬語と姿勢が正しく、真面目な男の子で他のお客様には評判はいいのですが。

その後日、しっかり本社にまでクレームをつけてくれたおかげで、私も本社に注意されましたが、配慮の無い本社スタッフがわざわざFAXでクレーム内容を店に送ってくれたおかげでその本人にもそれが伝わり、相当その男の子も落ち込みました。

これにも正解はあるのでしょうか?

<判断が難しいクレーム4 値段が高い>

その日の日替わりランチの内容は山菜の天ぷらがメインでした。天然の地元の山菜、ボリュームも結構あります。結構好評のようで、運んだお席では出すたびに歓声が上がり、写真を撮っている方もいます。インスタグラムにあげてくれないかな?なんて思っていたら、1組のお客様に「責任者を出せ!」と呼びつけられました。すると開口一番、「なんだこの定食は?草しかねぇ。これでカネとるのか?」

草って…。ちゃんとメニューには山菜の天ぷらって書いてあるし、第一それを頼んだのは貴方でしょうに。聞けば自分の実家の裏山では山ほど山菜が取れるのでタダみたいなものだとか。だからそんなタダみたいなものの他に何か別のメイン料理がつくわけでも無く(勝手につくと思っている)、1,000円以上も取られるなんて許せない!という事らしいのですが…。その食材がいくらの価値かなんて主観以外の何物でも無くて、こっちはお金を払ってその食材を買ってるんですけどね。 

色々書いてきた主観的なクレームですがこれはほんの一部です。この他にも塩っぱい、酒が少ない、部屋の照明が暗い、メニューが見づらい、等、色々あって勿論全てが無視していいクレームと言うつもりはありません。改善のヒントになるものも中にはあります。ただ、全てのクレームに、謝罪の手紙を書いたり、返金したり、なんらかのサービスをする事はただ、「言ったもの勝ち」の風潮を作るだけだと思います。

にもかかわらず、飲食の企業にはお客様第一主義、というより対応しなかった事により、のちにネットとかで批判されるのを恐れるあまり、自身の責任回避のためだけの過剰なクレーム対応を推奨する風潮が根強くあります。「ここまでは対応するが、これ以上は対応しない。」その基準をしっかり決めている企業は少ないんですよね…。上司にクレーム対応の相談をすると、大体は事なかれで、謝罪→補償の対応になりがちです。そんな時は現場をよく知る店長さんこそ、

「いえ、私はそこまでする必要は無いと思います。」

と、勇気を持ってNOなものにはNOと言いたいものです。勿論自己責任で、その結果職を失うかもしれませんが。

理不尽だけど最悪の場合は営業停止。アニサキスは防げるか?

こんにちは、当ブログにご来店頂き誠にありがとうございます。

今年の夏は暑くて暑くて…。って皆この猛暑を恨めしく思っている様ですが、昨年は逆に冷夏で、ビアガーデンはガラガラ、暑気払いも激減、海の家は不振、エアコンも売れずと、サービス業関連はそれはそれで曇天を恨んだ一年だったんですよね。それから比べれば…。

さて、気温が高く、海の水温も高くなる季節、こうなってくると、お寿司や刺身等、生魚を扱っているお店にとっては厄介な脅威が増えてきます。

アニサキス。

ここ数年結構話題になる寄生虫です。鯖、アジ、サンマ、鮭、カツオ、イカ、ブリ、カンパチ…などなど、殆どの魚に寄生しているんじゃないかと思うくらい、その発見事例は数え切れません。

基本的にはその内臓に寄生しているのですが、宿主の魚が水揚げされて、当然いずれ息絶えるのですが、そうなると身の部分に移動して、そしてその身を刺身やお寿司で生の状態で喫食すると、人間の体内に「生きた状態」で入る事があり、胃や腸に喰らい付き、激痛を伴う症状を発生させる、厄介な小さい侵略者です。

しかもひと度そのアニサキス症状を発症すると、病院に行ってお医者さんに内視鏡なり胃カメラを口から突っ込まれて、しんどい思いをしながら取ってもらうほかないのです。

生魚を食べるという事は、当然なんらかのリスクがあるのですが、この寄生虫、飲食店にとって一番怖いのは、アニサキスによる食中毒が発生して、それが保健所に報告が行くと、「営業停止に追い込まれる可能性がある」という事です。

「いやいや、O-157やら腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどの食中毒菌、ノロウイルスなどのウイルスでも一緒だろ?」

と、思う方もいるかも知れませんが、何が辛いかというと、アニサキスの場合、いくら店が衛生管理を徹底しようと、生魚を扱う限りは避けられないリスクです。

細菌による食中毒なら、その原因なり、証拠食材なり、営業停止も止むなし、の理由が見つかるでしょうが、アニサキスの場合、たった1匹の小さな2〜3cmの虫を見逃しただけで、それで発症して、保健所に報告が行けば、最悪の場合営業停止。その後の売り上げの損失もさる事ながら、風評被害は避けられません。

さらに怖い事に、「その証拠」の虫は患者の体内にいるだけで、保健所が店に報告を受けて踏み込んだ時には該当食材が残っているはずも無く、仮に店にアニサキスが寄生した食材があったとしても、「その証拠」の虫とは別の個体なので、本来は関連性は無いはずです。

だってそうでしょう。前述した通り、この季節は結構な確率でアニサキスが寄生した魚が入荷します。うちの店の冷蔵庫にもあるかも知れません。見た目じゃわからないんですから。それでウチで食事したお客様がアニサキスに感染したと言われても、それは別の、ひょっとしたらスーパーのイカの刺身だったかも知れません。

ところが、保健所はそこまで調べません。お店は徹底的に調べますが、腹痛を訴えた人の冷蔵庫の中や、実際に他の場所で生魚を食べたか食べてないか、その人の行動の裏取りを操作するわけでも無ければ、病院に行って摘出されたアニサキスを解剖して、虫が食した魚を特定する事もしません。言わば、被害者の報告が100%です。これはたまったものではありません。

しかし、保健所に入られた時に、「ウチからアニサキス食中毒はありえません!」という対策を講じていれば、営業停止は回避出来ます。その対策とは、

1、 薄く、細かく切り刻む。

アニサキスは生き物です。包丁で切断されれば死にます。サンマやアジの刺身、白身魚は薄切りか細かく刻むといいでしょう。イカも出来るだけソーメンレベルまで細く切るのがベターです。

2、 冷凍する。

カツオ、ブリ、サーモンなど、薄切りでは刺身として微妙なものは一度冷凍するのが無難です。アニサキスはやはり生き物なので、凍れば死にます。―20度で24時間冷凍すれば確実です。生の方が美味いのは分かりますが、今の時期は安全策をとりたいものです。カツオはタタキにするなど一手間かけて、鮮度のダウン分をカバーする付加価値を付ければいいと思います。

3、 焼く

昨今お寿司では炙りネタが流行ってますから、これもアリでしょう。ただし、70度以上で1分加熱が推奨されてますが、もう炙りというより焼き魚ですね(笑)。

4、 入荷したらすぐに下処理、特に内臓はすぐに取る。

サバでもアジでも入荷するときは魚の形そのままで入荷するでしょうが、一番の寄生場所、内臓をいち早く取ってしまうことが一番大切です。朝入荷したものを午後に、なんてやっているとどんどんリスクが高くなります。

と、ここまでやっていれば、仮に自店を利用したお客様から保健所にアニサキス症の報告が入ったとしても、注意勧告レベルで営業停止を回避できるかも知れません。そう、飲食店にとって一番の恐怖は、営業停止になったら大損害になる、という事です。

食中毒保険に入っていても、保障されるのは休んでいた期間の分の利益額の見込みだけです。その後の風評被害の売り上げ減は保障されません。

しかも、チェーン店なら被害はそれだけでは無く、他の店にも波及します。テレビニュースで取り上げられたら会社すら傾くレベルです。

ただ、私思うに、生のものを食べるって事は、食べる側もそれなりのリスクを承知の上で食べるものじゃ無いのかなぁ、って漁港の町生まれの私は思うんですけどね…。

それでは今日はこの辺で。ご来店、有難うございました!

夏の食中毒、まず家庭から。  

こんにちは。当ブログにご来店頂き誠にありがとうございます。

日に日に暑くなってきましたので本日は食中毒の話。

さてさて、飲食店にとってはある意味宿命で、一度大規模な食中毒事故を起こそうものなら、営業停止、及び社会的信用を一気に失う食中毒。ただの腹痛下痢程度なら、 “夏の食中毒、まず家庭から。  ” の続きを読む

従業員による未払金請求を防ぐには、まずは待遇改善と、知識を学ぶ。

さて、世の飲食業が恐れ慄く賃金の未払金請求ですが、対応で一番大事なのは、「法律通りにちゃんとやる」これが一番です。

一番ありえない対応が、

「従業員と密なコミュニケーションをとって、信頼関係を築き、後々訴えられない様にする。」

という、 “従業員による未払金請求を防ぐには、まずは待遇改善と、知識を学ぶ。” の続きを読む

過払い金請求?いえ、未払金請求です。従業員からのクレームの時代がやってくる。

テレビでよく見かけますね。過払い金請求。

知らない人のために説明すると、早い話がかつて、カード会社や消費者金融からお金を借りて支払っていた人が、払い過ぎていた金利分を返してもらう様にその消費者金融やカード会社に請求する事です。

かつて、日本の法律では100万円までなら18%、それ以上なら15%以上金利をとってはいけない事になっていましたが、出資法と言う別の法律では29.2%までならOK!というわけのわからない状態になっていたため、 “過払い金請求?いえ、未払金請求です。従業員からのクレームの時代がやってくる。” の続きを読む

役立たず幹事さんの逆ギレクレーム

クレームはお店の不備や、改善点を指摘してくれる事が少なくないですが、中にはただ単に客の立場を利用した、「態度が悪いだけ」の人もいるのは確かです。そして無理難題を注文してきて出来ないと怒る人も。次にあげるのも実例です。どうですか?心当たりや周りにいませんか?

<事例 自分の段取りが悪いのを棚に挙げて店員を叱り付ける客>

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迂闊な割引券はクレームの元

よくお会計の際にレジで渡される次回のご利用がちょっとだけお得になる割引券。ドリンク一杯無料になるものから、お会計がちょっとお得になる値引き系。この他にもタウン誌に「切り取って使って下さい」形のものや、インターネットで配信されるクーポン、DMなんてのもありますね。

なんとかリピーターを作ろうと、または新規顧客を呼び込もうとする施策なのですが、これがまた非常に面倒くさいクレームの元になったりします。

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