理不尽だけど最悪の場合は営業停止。アニサキスは防げるか?

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今年の夏は暑くて暑くて…。って皆この猛暑を恨めしく思っている様ですが、昨年は逆に冷夏で、ビアガーデンはガラガラ、暑気払いも激減、海の家は不振、エアコンも売れずと、サービス業関連はそれはそれで曇天を恨んだ一年だったんですよね。それから比べれば…。

さて、気温が高く、海の水温も高くなる季節、こうなってくると、お寿司や刺身等、生魚を扱っているお店にとっては厄介な脅威が増えてきます。

アニサキス。

ここ数年結構話題になる寄生虫です。鯖、アジ、サンマ、鮭、カツオ、イカ、ブリ、カンパチ…などなど、殆どの魚に寄生しているんじゃないかと思うくらい、その発見事例は数え切れません。

基本的にはその内臓に寄生しているのですが、宿主の魚が水揚げされて、当然いずれ息絶えるのですが、そうなると身の部分に移動して、そしてその身を刺身やお寿司で生の状態で喫食すると、人間の体内に「生きた状態」で入る事があり、胃や腸に喰らい付き、激痛を伴う症状を発生させる、厄介な小さい侵略者です。

しかもひと度そのアニサキス症状を発症すると、病院に行ってお医者さんに内視鏡なり胃カメラを口から突っ込まれて、しんどい思いをしながら取ってもらうほかないのです。

生魚を食べるという事は、当然なんらかのリスクがあるのですが、この寄生虫、飲食店にとって一番怖いのは、アニサキスによる食中毒が発生して、それが保健所に報告が行くと、「営業停止に追い込まれる可能性がある」という事です。

「いやいや、O-157やら腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどの食中毒菌、ノロウイルスなどのウイルスでも一緒だろ?」

と、思う方もいるかも知れませんが、何が辛いかというと、アニサキスの場合、いくら店が衛生管理を徹底しようと、生魚を扱う限りは避けられないリスクです。

細菌による食中毒なら、その原因なり、証拠食材なり、営業停止も止むなし、の理由が見つかるでしょうが、アニサキスの場合、たった1匹の小さな2〜3cmの虫を見逃しただけで、それで発症して、保健所に報告が行けば、最悪の場合営業停止。その後の売り上げの損失もさる事ながら、風評被害は避けられません。

さらに怖い事に、「その証拠」の虫は患者の体内にいるだけで、保健所が店に報告を受けて踏み込んだ時には該当食材が残っているはずも無く、仮に店にアニサキスが寄生した食材があったとしても、「その証拠」の虫とは別の個体なので、本来は関連性は無いはずです。

だってそうでしょう。前述した通り、この季節は結構な確率でアニサキスが寄生した魚が入荷します。うちの店の冷蔵庫にもあるかも知れません。見た目じゃわからないんですから。それでウチで食事したお客様がアニサキスに感染したと言われても、それは別の、ひょっとしたらスーパーのイカの刺身だったかも知れません。

ところが、保健所はそこまで調べません。お店は徹底的に調べますが、腹痛を訴えた人の冷蔵庫の中や、実際に他の場所で生魚を食べたか食べてないか、その人の行動の裏取りを操作するわけでも無ければ、病院に行って摘出されたアニサキスを解剖して、虫が食した魚を特定する事もしません。言わば、被害者の報告が100%です。これはたまったものではありません。

しかし、保健所に入られた時に、「ウチからアニサキス食中毒はありえません!」という対策を講じていれば、営業停止は回避出来ます。その対策とは、

1、 薄く、細かく切り刻む。

アニサキスは生き物です。包丁で切断されれば死にます。サンマやアジの刺身、白身魚は薄切りか細かく刻むといいでしょう。イカも出来るだけソーメンレベルまで細く切るのがベターです。

2、 冷凍する。

カツオ、ブリ、サーモンなど、薄切りでは刺身として微妙なものは一度冷凍するのが無難です。アニサキスはやはり生き物なので、凍れば死にます。―20度で24時間冷凍すれば確実です。生の方が美味いのは分かりますが、今の時期は安全策をとりたいものです。カツオはタタキにするなど一手間かけて、鮮度のダウン分をカバーする付加価値を付ければいいと思います。

3、 焼く

昨今お寿司では炙りネタが流行ってますから、これもアリでしょう。ただし、70度以上で1分加熱が推奨されてますが、もう炙りというより焼き魚ですね(笑)。

4、 入荷したらすぐに下処理、特に内臓はすぐに取る。

サバでもアジでも入荷するときは魚の形そのままで入荷するでしょうが、一番の寄生場所、内臓をいち早く取ってしまうことが一番大切です。朝入荷したものを午後に、なんてやっているとどんどんリスクが高くなります。

と、ここまでやっていれば、仮に自店を利用したお客様から保健所にアニサキス症の報告が入ったとしても、注意勧告レベルで営業停止を回避できるかも知れません。そう、飲食店にとって一番の恐怖は、営業停止になったら大損害になる、という事です。

食中毒保険に入っていても、保障されるのは休んでいた期間の分の利益額の見込みだけです。その後の風評被害の売り上げ減は保障されません。

しかも、チェーン店なら被害はそれだけでは無く、他の店にも波及します。テレビニュースで取り上げられたら会社すら傾くレベルです。

ただ、私思うに、生のものを食べるって事は、食べる側もそれなりのリスクを承知の上で食べるものじゃ無いのかなぁ、って漁港の町生まれの私は思うんですけどね…。

それでは今日はこの辺で。ご来店、有難うございました!

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こんにちは。当ブログにご来店頂き誠にありがとうございます。

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だって従業員がノロウイルスに感染さえしてなければ、仮にノロウイルス食中毒が発生したとしても、店との因果関係は立証出来ないので、営業停止に至らないのですから。 “従業員をノロウイルス感染源にしない為に” の続きを読む

飲食店キラー ノロウイルス

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