飲食店の現実。人材流出時代の影。人手不足が引き金の店舗崩壊。

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さて、前回とうとう、担当部長から、姉妹店への人員ヘルプを任されてしまった、というより丸投げされてしまいました。せっかく出来上がった自店のシフトを組み直し、1週間のうち、自店の副店長が休みの日は自店での営業、それ以外はほぼ姉妹店のヘルプです。シフトとしてはこんな感じです。

月曜日 副店長が休みなので自店

火曜日 ヘルプ

水曜日 ヘルプ

木曜日 副店長が休みなので自店

金曜日 自店が忙しいので自店

土曜日 自店が忙しいので自店

日曜日 ヘルプ

と、いったところでしょうか。

あれ?休みは?と思ったでしょうか。そりゃあ私だって休みたいです。でも、姉妹店の店長が休めてません。上司の部長も本部とヘルプ店舗を行ったり来たりで休んでません。とてもじゃ無いですが休みたいとは言いにくい状況です。

アルバイトスタッフを姉妹店にヘルプに行かせる方法も考えました。ですがその話を持ちかけるとアルバイトさんの返事はNO。知らない人しかいない所にバイトに行かされるくらいなら休みでいい。当然と言えば当然の反応です。第一、採用時にそんな事説明した覚えも無いですし。

それでもまぁ、1週間もすれば、どこか他の店からヘルプ要員が来るなり、社員が移動になるなり、何とかしてくれると甘く考えていたのですが…。

翌日、また姉妹店にヘルプに入ったのですが、その日は私を含めて昼も夜も4人ずつ人員は配置され、正直もう1人はホールスタッフが欲しいところでしたが、3人よりは遥かにマシ、といったところで、オペレーションも正直ギリギリでサービスが後手に回る場面も多々ありましたが、やはり1人いるといないとでは全然仕事の進みが違います。やっとまともな休憩が取れました。

それにしても人員不足は慢性的で、ここの副店長が辞めた理由もそこにあるのでは、とも思いました。とにかく人手が足りない中営業しているので、サービス業、というより、目の前のお客様を「こなしている」機械的作業がほとんど。しかも所々お客様から苦言をいただくので、これではやりがいも何もあったもんじゃありません。

しかも、本来はお店は少しでも多くのお客様にご来店頂いて、少しでも多くの売り上げを上げる事が企業としての命題なわけで、それで我々は給料を頂いているのですが、人員不足にて予約の電話(と思われる)電話にも出れず、入り口で入場制限をし、予約すら制限し、これでは売り上げが上がるはずがありません。このままでは、それまで前年比をそこそこクリアしていたこの店が、不振店に落ちていくのは火を見るより明らかでした。

それから数日、この店のアルバイトさんに、もう少し出勤できないものか聞いてはみましたが、お昼のパートさんは、

「もういい歳だからね。それに最近忙しくてさ、人が足りないから、キツイのよ。」

夜の学生さんは、

「研究室が忙しいし、毎日学校で正直週一のバイトもキツイんすよ。」

「就活でアルバイトどころじゃ無いんです。出来れば数ヶ月丸々休みたいんです。」

「稼ぎたいと思ったらもう少しいい時給の所に行きますよ。ここ続けてる1番の理由は店長が割とシフトに融通利かせてくれますからねー。」

と、なるほど。早い話が今まで店長やら副店長が何とか頑張って支えてきたからシフトが成立していたわけで、社員が1人いなくなった事で、残ったのは稼ぐ事に今一つネガティヴなスタッフばかり。そりゃシフトが崩壊するのも納得です。

と、それがわかったところで他にどうしようもなく、とは言え私もいつまでもヘルプに通うわけにも行かなかったので、営業終了後、店長と今後どうするか話し合いました。

「店長、この状況じゃいずれ店が崩壊しますよ。社員の補充は目処が立ってるんですか?」

「それがね、いずれ何とかする、とは部長は言ってるんだけど、その部長も他の店のヘルプに行ってる有様だろ?他の店も人員はカツカツで、店長が休みが取れない店はうちだけじゃ無いらしいんだ。だから求人はかけてるんだけど…。反応は厳しいね。」

全てを諦めたように話す店長には、何か秘めたる決心があるようでそれ以上聞くのが怖かった。さらに続けるように、

「調理場のスタッフも最近は何とかホールを手伝おうと、料理を運んだり、テーブルを片付けようとしてくれてる。みんないい奴ばかりさ。学生スタッフやパートさんだって本当は休みたいのに、忙しい中出勤してくれてる。そんな中、俺が休んでる場合じゃ無いだろ?」

こんな状況でも、自分の部下の愚痴をこぼさず、むしろ感謝している。私に同じ事が言えるだろうか?少し自分が恥ずかしくなった。

「私にできる事があれば協力します。何とかこの状況を打破しましょう。」

店長は苦笑いを浮かべながら頷き、こう語りました。

「有難いけど、自分の休みはちゃんと取れよ。休めるうちは休んどけよ。だってそうだろ?もしそっちが同じ状態になったら、今度は俺がヘルプに行くかもしれないんだ。その時に俺も休みづらくなるからさ。」

そして更に、

「何も店長自らヘルプに来なくても、副店長がいるならそっちを寄越してくれ。アルバイトさんが店長、って呼ぶ度2人返事するから困っちゃうってさ。」

最後は冗談交じりにこちらを気遣ってくれました。いい人だ。こんないい人が店長をやっていても、突然降りかかる人材流出と人員不足。飲食業のみならず、売り手市場の現在に於いてはあちこちで現場崩壊の危機にさらされています。

その後、その姉妹店のヘルプについては副店長に代わりに行ってもらう事にしました。意外にも副店長的には他の店を自分の目で見て見たい希望があったようで、活き活きとヘルプに行ってくれてます。それになりより、自店をしばらく開けていると、やたらと仕事が滞っているようで、これがベストな選択だったようです。

そして社員の補充ですが、結局人が集まらなく、当面は本部スタッフが交替でヘルプに行き、店長の休みについては、何とか週一で部長が回してくれる事となりました。部長は一体いつ休めるのでしょうか?1日も早い人員補充を願わんばかりです。

サラリーマン店長で今飲食店の多くはこんな感じです。自営業の方から比べれば、

「あめーよ。」

と言ったところでしょうが。

それでは今日はこの辺で。

ご来店ありがとうございました。