サラリーマン飲食店店長にありがちな中間管理職病“鬱”の恐怖 その2  

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こんにちは、当ブログにお越しいただき誠に有難うございます。

 

さて、前回はサラリーマン飲食店店長が陥りやすい鬱病の現実のお話だったのですが、今回はその原因についてお話します。

 

そもそもにして、鬱の原因といったらそりゃもう、これしかないでしょう。

 

「過度の精神的ストレス」

 

これ一本と言っても過言ではありません。ではそのストレスはどこから来るのでしょう。列記してみます。

 

1 長時間労働による疲労感。

2 売上、利益の未達成による焦燥感。

3 客からの強烈なクレーム。

4 膨大な量の店長業務による絶望感。

5 従業員同士のいざこざ、人間関係。

6 上司によるパワーハラスメント。

7 事故。

8 役職のミスマッチング。

 

と、他にもありそうですが、ぱっと思いついたのはこれ位です。全て経験済みです(笑)。実際どういうことなのか一つ一つ説明します。

 

 

1 長時間労働による疲労感。

一般的には店長職にいる方は基本的に長時間労働の方が殆どです。本来は管理者なので、仕事の指示と、重要な顧客へのご挨拶とか、会社への報告、連絡、相談とかの業務だけなのでそれほど長時間働く必要は無さそうなのですが、実際は今の世の中人手不足なので、基本的に店舗オペレーションをこなさなくてはなりません。自身で案内、料理提供、調理、皿洗いまで、何一つやらずにすむ店長なんて本当に一握り。

ただ、これらは精神的な負担というより、肉体的な負担。それほどストレス度は高くないと思いますし、店長になるには皆、一通りのオペレーションも長時間労働も慣れっこだったりします。しかしながら、それらが延々と続き、休みが無い状況が数ヶ月続くと、徐々にその疲労感が精神を蝕み始めます。

 

 

2 売上、利益の未達成による焦燥感。

 

飲食店の店長じゃなくても、これはビジネスマンの宿命。ただ、どんなに頑張ってもなかなかすぐに結果が表れないのが我々飲食業。地道な営業努力を積み重ね、シフトをコントロールして人件費を調整し・・・、しかし会社は待ってはくれません。予算未達成であれば降格、減給の対象にもなりますし、上司と顔を合わせるたびにアレがダメだこれがダメだのお小言。中間管理職の宿命ですねぇ。

 

3 客からの強烈なクレーム。

 

「ふざれるなてめぇ!二度と来るか!」

 

と、怒鳴られるのもなかなかのストレスですが、ねちねちと本社を通じての長いクレーム、グルメサイトへの辛辣なコメント、まじめな人ほど結構堪えます。それらを糧にして店を改善すれば?と言いますが、余り言われ続けるのも結構へこみます。

その他にも、「こんな最低な店に金は払えない!昨日払った金返せ!」とか、「その目つきが気に食わない!」とか理不尽なクレームもなかなかきついです。正直なんでこの仕事をやってるのだろうと疑問に思う事も。気持ちの切り替えが出来ない人ほど、どんどん深みにはまります。

4 膨大な店長業務による絶望感。

 

システムや数値分析が未熟なチェーン店にありがちなのですが、上司が社長とかに、

 

「あの店の今やっている●●の費用対効果はどれくらいだ?」

「この店のアルバイト募集にどれくらい経費がかかって平均どれくらい続いてるの?」

 

と聞かれた時にすぐ堪えられるように、とにかく何でもかんでも報告書をあげさせる上司がいたりするともう最悪です。毎週、毎月売上、原価、労働時間の報告の他に、季節商品の出数の報告、販促効果報告、業務改善提案etc・・・。

もはや、その数字をどうこうするのが目的というより、報告するのが目的になり、しかも、やめ時の指示が無いので日に日に報告書は膨大になっていきます。しかもその殆どが本社に吸い上げられているPOSデータやタイムカードのデータを見ればわかることばかり。なんでただでさえ忙しい我々が・・・。これもまじめにやればやるほど深みに嵌って行きます。

 

5 従業員同士のいざこざ、人間関係。

 

これには私もかなりやられました。従業員も長く働いていると、その中に当然上下関係や派閥が出来てきます。そうなると始まるのが従業員同士のいざこざ、いじめ。学校の先生よろしくその仲裁に当たったり、双方の話を聞いたりと、人間マネジメントも我々の仕事。

これもなかなか大変なのですが、さらに長く働いている従業員となると、もう、店長より従業員をまとめる発言力をもったり、さらには言うことを聞かなかったり。話し合いを持とうにも断られたり。本来なら店舗運営に支障をきたす従業員は協調性無し、と辞めさせればいいのでしょうが、現行の労働法はそう簡単に従業員をクビにはできません。

クビにすれば、それらの取り巻きも辞める可能性があります。そして飲食業は人手不足です。その立場を知っているのか性質の悪いベテランはとても強気です。実際辞められてしまえば店は瞬く間に運営困難に陥ります。店長も休めなくなります。

しかも、従業員が自ら退職したのならともかく、「クビ」にした、という事実は会社から見れば。その店長に従業員をマネジメントする力が無かった、と判断される世の中です。まぁ、早い話が、「人をうまく使えない奴」のレッテルを貼られることになります。

結局、大体の場合飲食店の店長は従業員の、ことにベテランスタッフの顔色を伺い、機嫌を取り、指示命令するというより、ご協力いただく、こんな感じでとにかく神経をすり減らす毎日になります。

私はこれでしばらく眠れなくなり、睡眠不足からでしょうか、集中力が欠け、仕事がうまくいかなかった時期があります。今にしてみればあれもなにかの病気だったのかと思います。病院にいかなかっただけで。

その後、どう解決したか?ですか?やけくそになって、そのベテランに、

 

「いちいち気に入らないんだったら、辞めてもらって結構です!アナタは優秀でしょうが私には使いこなせません!来月で契約を打ち切ります!」

 

と半ギレしてしまいました。結果、そのスタッフは辞めました。周りの取り巻きは意外にもそれ以来おとなしくなり、いや、むしろ手のひらを返したように言うことを聞くようになり・・・・。まぁ、これが正解だったとは思いません。会社からもやり方が良くないと注意も受けました。それはパワハラだと。

ただ、あのままの状態が続いていればどの道私自身が壊れていただろうし、そうなれば仕事も続けられなかったと思います。無理なものは無理、受け入れられないものは受け入れられないと声をあげないと。自分を守るのは結局自分だけですから。

 

 

6 上司によるパワーハラスメント。

 

私が言うのか。という話ですが、まぁ、この業界、古い考えの役職者が非常に多い業界でもありまして、いまだに、「管理職は休みが無いのが当たり前!」とモーレツ社員であることを望みます。なので相手が休みだろうが帰宅後だろうが、「明日までに報告書を持って来い」は当たり前。携帯に電話をかけてきて折り返しの連絡がすぐ来ないと何度も電話をしてきて更に怒る。「売上が足りないのに何をのんびり休んでるんだ!」と20年前によく聞いた台詞を未だに使います。

そして最悪な事に、とにかく大声で怒鳴り散らし、中には手まで出る上司も。

 

典型的なパワハラです。これに対抗するには、先程もお話しましたが、戦うのではなく、「私には無理です」とはっきり言うしかないでしょう。だって、無理なものは無理なんですから。

 

7 事故

 

これも経験ありなのですが、「従業員による現金の盗難」のような内部事故、その悲惨さに心が苦しくなります。まずは起さない事が一番なのですが、起きてしまったら自分で抱え込まず、すぐに会社に報告しましょう。変に自分で解決しようと時間をかけると、その間従業員同士が疑心暗鬼になり、店の雰囲気が最悪になります。

 

このほかに「食中毒事故」があります。これも経験ありで、起こさないことが第一なのですが、起きてしまったらもう、ひたすら謝罪、これだけです。後の処遇は好きにしてくれ、これがこの会社で行う最後の仕事くらいの気持ちで誠心誠意尽くすしかないと思います。やってしまったことより、その後どう動くか、それが一番大事な事だと私は思います。

8 役職のミスマッチ

 

中には現在の人手不足の環境の中、明らかにキャリア不足なのに、「形式上」で店長にされる若手が多かったりします。よく、役職が人を育てる、とは言いますが、学校を卒業したばかりだったり、この業界が未経験だったにもかかわらず、職人さんを使うような和食や洋食の専門業態だったら最悪です。なにせ古株の職人さんは若造の言うことを聞く訳もありませんし、パートさんも殆どが年上ですし。とはいえ社命には逆らえません。もしアナタがその立場を任命されたら、はっきり上司に言いましょう。「助けてください」と。大丈夫です。上司もそれはきっとわかっているはずです。きっと逐一フォローをしてくれるはずです。そうでなかったらやるだけやってみて、どうにもならなかったら両手を挙げて「無理です」と言ってみましょう。

 

 

長々と鬱の原因になる過度のストレスの原因とその対策を書いてきましたが、全てに共通するのは、

 

「無理しない」

 

ここに尽きると思います。疲れたら休んでいいんです。提出書類が間に合わなくても仕方ないんです。忙しいんだから。人をマネジメントできなくても自分も人なんだからいいんです。それで勉強していけば。無理難題には無理、と言えばいいでしょう。勿論やる前からあきらめては自分の進歩が無いのでまずはチャレンジします。ただ、自分が壊れるまで頑張る必要は無いと思います。

 

壊れたら貴方の代わりの店長はいくらでもいます。ただ、あなたという人間は、ご家族、友人からすれば貴方しかいません。そして現在は飲食業は人手不足です。その会社じゃなくてもいくらでも行き先はあるでしょう。もっと肩の力を抜いて、自分の為にお仕事頑張ってください。

 

 

それでは今日はこの辺で。本日もご来店、有難うございました!

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