事例 1 レジ金の過不足
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一日の営業が終わり、レジの中の釣銭準備金と現金売上金をカウントする作業いわゆる「レジ閉め」が毎日の様にあるのですが、ここで大幅な過不足(おもに不足)があると冷や汗もんです。それが万単位だったりすると顔面は蒼白になり、その直後にただのカウントミスだったり、キャッシャーの隙間からひらりと一万円札が出てきたりすると、まるで命の危機を脱したかのように安堵します。
もちろん、レジ金に少しでも差異があれば大体の企業では、原因追求と長々とした報告書の提出、繰り返すようであれば、店長の査定に響いたり、厳しい叱咤が待っています。
それらの煩わしい作業を避ける為に、サラリーマン店長の多くは、少額であれば自腹で補完したり、非公表の店長だけ知っている、お客様からのチップの一部を貯め込んだ「隠し金庫」からの補完で、そのレジ金不足を無かった事にしようとします。
これは当然会社的にはNGなのですが、とは言え上司も人間です。表向きは駄目だとは言いますが、煩わしい作業が増えるのは上司も一緒なので、できれば「無かった事」であるのがお互いにいいので、ほとんどの企業で黙認されているのが現状でしょう。
ただ、そこが狙われるのです。
このように、少々の金額であれば、店長は報告を嫌ってもみ消してしまう、という癖を感じ取られると、盗むほうからすればこれほどちょろい事はありません。しかも一度試しに1,000円抜いてみて、当日も、翌日も何も言われなかった、話題にもならなかった、となれば高い確率でまた同じ事が、より高額で行われます。
あの日もそうでした。
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連休真っ只中、忙しい営業が終わり、いつものようにレジ閉めを行っていると、何度数えても5,000円足りない。こういう時は、大体私自身が何かしらの見間違いや、数え間違いだったりするので、別の従業員を呼んで二人でもう一度数えてみる。
やっぱり合わない。
不安そうな表情で従業員が、
「受け渡しミス、ですかね」
と、当然すぎる質問をしてきた。
「だろうな、10,000円と5,000円の見間違いか・・・・」
正直なところ、その日は約300人規模の来店が入れ代わり立ち代わりあったので、どこで誰が間違ったかなんて原因を追究しようがない。さらに悪い事に、この時期上司からお客様からのクレームの件で、こってり絞られていた直後だったので、上司に報告するのも気が引けた。
しかも私自身、疲れ果てて、もう何も考えたくなかった。
「いいや、隠し金庫で埋め合わせしよう。」
近くにいたスタッフには、後で、やっぱりただの勘違いだったと適当な嘘を言い、その日は何事もなかったように仕事を終えた。
しかし、数日後、また同じ事が起きた。平日と言う以外は全く同じシチュエーション。金額まで全く一緒だ。きっとまた同じ10,000円と5,000円の受け渡しミスだ、と思いたい自分と、これに何らかの悪意を感じている自分が対峙した。だがそれでも、わずかな確率を信じて、これは受け渡しミスに違いないと無理やり自分を納得させ、しかも隠し金庫のお金も前回使ってしまったので、自分で自腹を切った。この時点ですでに間違いだったのだが。
続きはまた明日。
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