飲食店店長の東北の地酒個人的素人レビュー 山形編2

Pocket

山形の地酒にはフルーティなお酒がやたらと多いように感じます。これは地元がさくらんぼや葡萄に代表されるようなフルーツ王国だからなのでしょうか。初夏から秋にかけて、山形をドライブするとあたりを漂うフルーツの甘い香りは一度訪れる価値有りです。できればバイクか車で。空気=フルーツの香りなんてなかなか都会では味わえません。

出羽桜 出羽桜酒造

ここの蔵元は山形の酒蔵の中では大型の部類に入ります。桜花吟醸と呼ばれる吟醸系が主力なのでしょうか、とにかくフルーティな銘柄多し、の感はあります。余談ですが、この酒蔵の近所の「こしかけ庵」という店のわらびもちは絶品です。こんなにつるつるの喉越しのわらびもちを食べた記憶は私にはありません。

さて、話がそれました。この酒蔵には本当に色んな銘柄がありますが、私の一押しは敢えて高価格商品ですが、「雪漫々 大吟醸」です。このお酒は、氷温で2年間大吟醸酒を眠らせてお酒に深みを持たせたという一品なのですが、大吟醸酒にありがちな「甘さと強い吟醸香」だけでなく、酸味、辛味、渋味などの複雑な味わいが絡み合うので、とても特徴的に分かりやすいお酒です。ただ、一本一升瓶で6千円します。高いなぁ。合わせるなら肉料理がいいかな。

くどき上手 亀の井酒造

ここの蔵元は若手の2代目が筆頭を勤めているからなのか、とにかく革新的な銘柄と、日本酒が苦手な人でも飲みやすい、口当たりのやわらかな銘柄が多いのが特徴と言えます。

純米大吟醸系の銘柄が多く、精米歩合も高めの銘柄もあります。「ごくつぶし」と呼ばれる銘柄に至っては精米歩合が10%(!)、米の殆どを削り落としています。

革新的なお酒の中には今では多く見かけるようになりましたが、スパークリング日本酒の「おしゅん」などがあり、過去の常識にとらわれない挑戦的な姿勢がラインナップからうかがえます。

そんな中での私のおすすめは「くどき上手 ばくれん」、

この銘柄は価格もお手ごろなのもそうですが、山形のフルーティなお酒たちの中できっぱりとあえての辛口。それでいてしっかりと吟醸香を乗せてくるあたりはさすがの一言だと思います。これくらいすっきりと辛口を決めてくれるお酒だと、珍味系のおつまみや、鮮魚系の料理に美味く合わせることが出来ます。

上喜元 酒田酒造

こちらは山形の日本海側、多くの酒蔵が内陸部にある事から考えると少し山形の酒蔵の中では珍しい部類に入るのではないでしょうか。ちなみに余談ですが、この地方の「酒田市」、日本全国の地名でその名前に「酒」が入っているのってここだけなんだそうで。

で、ここの蔵元の特徴なんですが、やはり立地が関係するのでしょうか、海の幸に合わせやすい骨太の辛口銘柄が特徴的です。中でもこれは是非おすすめしたいのが、冬季にのみ市場に出回る「上喜元 翁」という銘柄です。

これは、所謂ブレンド酒で、ただ、その原料は品評会に出すようなお酒や、吟醸酒、大吟醸などハイレベルのお酒をブレンドしているらしく、おそらくその理由で毎年出来映えは変わってしまうのかもしれませんが、少なくともここ数年私が試飲している限りは、まず外れはありませんでした。しかも原材料の割には、一升で2千円ちょっとですからお買い得なので、個人的にかで晩酌程度に飲みたいくらいです。季節的にはよく鍋物と合わせてました。

この他にも、山形には個性的な酒として、山形政宗、男山、雅山流など紹介したい銘柄はあるのですが、ひとまずこの辺で。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です