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さて、もう今年も残り三ヶ月を切りました。朝晩冷え込んで、すっかり秋の雰囲気ですね。今年は秋の味覚の王者、“秋刀魚”の不漁に見舞われましたが、少し最近持ち直してきたようで、戻り鰹、松茸、舞茸、銀杏、はらこめし・・・・あぁ、日本人に生まれて良かった。
で、それに合うお酒といえば、そりゃもうこの季節なら“ひやおろし”でしょう!各蔵元が一斉に独自の個性を出した、至極のお酒が勢ぞろいです。この季節を待っていた日本酒好きもいるんじゃないでしょうか。
一応簡単に説明すると、このひやおろし、春に仕込んだ日本酒を、一度火入れをして夏の間は涼しい所でゆっくり熟成させ、気温が涼しくなってきたころ、そう、まさに秋、しっかり熟成されてうまみが乗ったお酒を火入れをせずに樽から卸して瓶詰めしたものを“ひやおろし”というのです。
ところが・・・。最近日本酒を飲むお客様が減った、というのも確かにありますが、あんまり受けが良くないんですよね。
勿論、根っからの日本酒好きは滅茶苦茶反応が良いので、そればっかりずっと飲んでるのですが、そうでない、一般のお客様は、いくらおすすめをしようとも、そのひやおろしの説明をしても、「ふーん、なるほどねぇ。でも、まずハイボール。」なのですよ。
いや、別にその選択を否定する訳じゃないし、確かにハイボールは秋の味覚に合う、それは間違いないでしょう。でも和食にはやっぱり日本酒がもっと合う!と力を込めて言いたい!けど、世間はハイボールを求めているようです。
日本酒は飲みすぎると、次の日に堪えるとか、糖質が気になるから日本酒は避けている、とか、そもそもハイボールはお財布にやさしいのでハイボールなのだとか、色々言われますが、悲しい限りです。
この現状について、酒屋さんに愚痴をこぼしてみると、彼らも思いは同じようなので、
「そうなんだよね、でもね、ひやおろし、とは言うけれど、今の冷蔵技術なら年中ひやおろしを作ることが出来るから、ぶっちゃけいつでも同じレベルのお酒が出回ってるのも問題なんだよね。この季節だからこの味、ってのも無くなりつつあるし。それに普段日本酒を飲まない人のほうが多いから、季節のお酒、ってよりも、有名なお酒を飲むほうが価値があるみたいなんだよねー。」
と、酒屋さんも苦笑いでした。
おもわず頷く納得の話でした。さらに言えばお酒のみならず、旬の味覚についても少し最近疑問に思うことがあって、まだ秋の気配も感じないうちから、「秋刀魚が不漁だ!」と叫んでましたが、なぜこのくそ暑い日に秋刀魚を食べなきゃならないのか。9月頭には松茸がスーパーに並び、秋の味覚フェアとかやってますし、コンビニにはお盆過ぎには秋限定酒造のビールが並んでます。
早すぎると思います。旬の味覚を求めるのが。なんでわざわざ高くて味も乗ってないうちから。でもって飽きるのも早く、本来秋まっさかりの今、既に冬の味覚に日本人の味覚が向かっているような気がします。
だからでしょうか、酒屋さんの棚から既にひやおろしの日本酒が少しづつ少なくなって来てます。やっぱり在庫として抱えたくないから、売る方も造るほうも、季節商品については多く出さないようになっているみたいですね。
今なら秋の味覚もお手ごろ価格で、ひやおろしのお酒もディスカウントされ始まっているので、どうでしょう、今夜あたり。
それでは今日はこの辺で。ご来店、有難うございました!