飲食店勤務の最高の福利厚生はまかない=食事、なのに・・・。残念すぎる食事。

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しばらく暑い日が続いたもので、すっかり夏バテ気味。ビールは美味しいけど食欲が・・・。最近麺類ばかり、そんな食生活。さて、今回はそんな食事にまつわる「まかない」のお話です。

 

飲食店の待遇は給与面では、あくまで平均的な話ですが、他の業種と比べて良いとは言えません。必ずしもそういう訳ではないですけどね。休みとか労働時間に関しても、世間で言われるように楽ではないでしょう。全ての飲食業がそう言う訳ではないのですが

 

そんな飲食業ですが、一点だけ、他の業種よりも確実に素晴しい待遇があります。それが、今回のテーマ「まかない」です。

 

勤務中に訪れる、この一度、または二度の幸せ。食事つきというのは素晴しいアドバンテージです。

 

例えば昼食1回、平均のサラリーマンの予算は1,000円以下といったところでしょうが、これが月22日勤務だとしたらどうでしょう、軽くひと月で2万円は行きます。これはまだマシなほうで、実際は働き盛りの子持ち、住宅ローン持ち、の家計となると1500円位が昼食の予算、という方も多いです。または会社から支給される昼食手当てが1500円位という方も。

 

それが無料なんですね。年間で考えればかなり大きいです。勿論、自宅でお弁当を作る、という手段もあるでしょうが、それらを作るにも当然手間がかかります。毎日冷凍食品の詰め合わせと言う訳にも行かないでしょうから、食材仕入れとその管理の手間もかかりますよね。

 

そう考えると、働く上で絶対に必要不可欠のこの食事代を1回分浮かせられる、このまかない制度は飲食業の最大の利点といっていいでしょう。

 

 

ところが、そのまかない、ここ数年でずいぶん変わってきました。それも悪化する方向に。その筆頭が、「有料化」です・

 

まかないの有料化は大手チェーン店のレストランが発祥とされています。パターンは幾つかあって、

 

1 給料からまかない料として天引きされる。

 

天引きされるといっても、まだまだ良心的な金額が一般的ですが、タダではありません。1200円とか300円位でしょうか。食材代だと考えれば納得できなくは無いですが、その代わり、作るほうにも重圧がかかります。本来、まかないは新人調理人が腕を磨く為、料理を勉強する為のステージでもあり、お客様に出せない鮮度の食材をどう調理するか、端材の食材をどう仕立てるか、というポジションでもありますよね。

そこでお金を取ってしまう、という事は・・・。当然ちゃんとしたものを出さなくてはなりません。いや、それまでもちゃんとしたものは出てくるのですが、例えば新人の和食の調理人が興味本位で作ったイタリアンの失敗作、なんてのがたまに出てくるのがまかないの醍醐味だと思うのですが、それが許されなくなっちゃうんですよね。個人的にはそれも含めてアリだと思うのですが。

 

2 店のメニューが格安で食べられる。

 

このパターンも多いですね。食事休憩に入るスタッフが事前にオーダーを調理場に通すか、あるいは休憩前に自分で作るのか。基本的に自分以外のスタッフに作らせるルールにしているお店が多いように感じます。まぁ、自分の分となったら、必要以上に大盛りにする人も出たりするでしょうからね。で、そのオーダーが半額だったり30%引きだったりで食べられると。

これにも勿論企業の狙いがあって、まずはオーダーを作らせるという経験をスタッフに積ませる為、だったり、適正なポーション、味付け、盛り付けをスタッフ同士でチェックするため、でもあったりします。さらには自店の商品への理解を深める為、でもあったり・・・・。

3 そもそもまかない制度が無い。

 

とても残念なパターンですが、止むを得ない業態もあるのは事実です。今、飲食業は専門店化が進んでいるために、まかないで使えるようなバリエーションのある食材が無かったり、食事がどうしてもあるジャンルに偏ったり。例えば牛タン専門店。毎日牛タンの先っぽの端材ばかりだったら、さすがに飽きますよね。

また、セントラルキッチン化が進んでいるため、店舗調理工程が最小限になっているので、そもそも調理済みの、温めるだけ、盛り付けるだけの食材が多く、ロスになる食材が無い故にまかない自体をつくれないお店もあります。2、で先程説明した店のメニューを割引で食べるタイプのお店はこの理由が多いようです。

 

 

といった具合にまかないは徐々に有料化の兆しが進んできているように感じます。理由としてはどれも正論で、致し方ないといえるのかも知れませんが、個人的には「食」に携わる人間にはせめて、おなか一杯に食べて欲しい、という気持ちはあります。好きなものを食べさせる訳にはいきませんが、自分の懐具合を気にしながら食事をさせたくない、古い考えなのかもしれませんが。

 

また、そのまかないの調理を通じて、料理人にはそのバリエーションの幅を広げて欲しいとも思います。そしていかにお金をかけずにいいものをつくるのか、例を挙げればたった一個10円の卵で、卵かけご飯なのか、目玉焼きなのか、卵の天ぷらなのか、ポーチドエッグなのか、オムレツなのか、それらを勉強するステージとして、まだまだ無料のまかない制度は残って欲しいなぁと思う今日この頃なのでした。

 

ちなみに今日のうちの店のまかないは、定番のあら汁、鮪と鰹の血合い部分のホイコーロー風炒め物、サラダは古くなりかけの刺身のつま、それにやはり古くなりかけのメカブをトッピング。生卵とごはん。ダシをとった後の鰹節で作ったふりかけ。これで充分です。無料ですから。しかもさすがはプロの仕事。とても美味い。

 

それでは今日はこの辺で。ご来店、有難うございました!!