飲食店経営の厳しい現実。時給1,000円!出来る?出来ない?  

いらっしゃいませ!当ブログにご来店いただき誠に有難うございます。

 

さーて、令和最初の年末商戦がすぐそこまで。と、言うことで今年もアルバイトの募集よね!と言いたい所ですが、さて、集まるだろうか。今の時給で・・・・。

 

と、お悩みの飲食業界の方々、多くはありませんか?何しろこの業界の人手不足はすっかり常態化して、平均賃金はずっと右肩上がり。都内はとっくのとうに1,100円から1,200円を突破して、地方都市でもそろそろ1,000円が普通になりつつあります。

 

そんな最中、その平均賃金よりずっと下の時給でアルバイトの募集広告出したって、そりゃくるはずありません。いくらアットホームだよー、とか、店長が優しくて!とか謳っても読み手には伝わりません。じゃぁ、従業員からの紹介だ!と大体皆考えますが、それにしたってある程度平均賃金近くでないと、紹介するほうも躊躇します。

じゃあいいもん。外国人雇うもん。年配の人雇うもん。と、次はそれでしょうが、外国人留学生は週28時間以内の縛りがあるだけでなく、一時期ブーム化していたので実際に雇っているお店はたくさんありますが、それから数年、やっぱり、「文化、考え方の違い」で苦労されている店長さんの愚痴をよく聞きます。確かにうちの外国人も、性格もあるんでしょうけどとにかく自己主張が強い。で、提出物の期限を必ず忘れる。なかなか大変ですよ。年配の方も然り。これも一時期ブームだったので、うちでも採用しました。目下の悩みは親の介護と、自身の持病。余り無理はさせられませんよ。

 

もう、小手先の業でなんとか低賃金で使うやり方よりも、おとなしく時給を上げたほうが健全で早いのですが、簡単に引き上げられるなら誰も苦労しません。まず、使える人件費ですが、一般的には売上の30%前後といわれています。さて、月商500万円の店舗の場合、社員3(各月間210時間)に計80万の給与等を支払っている場合、時給900円と1,000円のアルバイト、どれだけ使えるでしょうか?

 

 

<時給900円の場合>

使える人件費=500万円×30%=150万円

使えるアルバイト費=人件費-社員給=150万円-80万=70万円

使えるアルバイト時間数=アルバイト費÷時給=70万円÷900円=777時間

月間の総労働時間=(社員時間210時間×3)+(アルバイト時間777時間)=1,407

人事売上=売上÷総労働時間=500万円÷1,407時間=3,553

月間31日とすると一日あたり45.4時間

 

 

<時給1,000円の場合>

使える人件費=500万円×30%=150万円

使えるアルバイト費=人件費-社員給=150万円-80万=70万円

使えるアルバイト時間数=アルバイト費÷時給=70万円÷1,000円=700時間

月間の総労働時間=(社員時間210時間×3)+(アルバイト時間700時間)=1,330時間

人事売上=売上÷総労働時間=500万円÷1,300時間=3,846

月間31日とすると一日あたり42.9時間

 

 

と、当たり前ですが、時給が低いほうがたくさんアルバイトを使えるわけです。ちなみにここに出ている「人事売上」ですが、これはお店の忙しさの指数みたいなものだと考えていただければ。当然時給1,000円の方が少ないアルバイトで営業するので忙しいです。

 

さて、それでは時給が1,200円の場合は、と言うと、

 

<時給1,200円の場合>

使える人件費=500万円×30%=150万円

使えるアルバイト費=人件費-社員給=150万円-80万=70万円

使えるアルバイト時間数=アルバイト費÷時給=70万円÷1,200円=583時間

月間の総労働時間=(社員時間210時間×3)+(アルバイト時間583時間)=1,213時間

人事売上=売上÷総労働時間=500万円÷1,213時間=4,122

月間31日とすると一日当たり39.1時間

 

さーてどうでしょう。時給を900円から1,200円に一気に引き上げると一日当たりに使える時間数が5時間減ります。すでにシフトの見直し等できちんとシフトコントロールされているお店にとって、果たしてそれだけの時間削減は可能でしょうか?となると、せいぜい時給は1,000円位が限界でしょうね。よほどメニューの絞込みや機械化でも進めていれば別ですが。

 

逆に言えば、そこまでは時給の引き上げは充分可能、と言う事です。すでに限界まで時給が上がっている首都圏はどうにもならないでしょうが、地方にとってはまだその余力はある、と思っていいと思います。

 

ただ、全国チェーンの場合、さらに限界の首都圏の募集賃金を上げるために、その利益率の低下を埋め合わせる為に、地方の時給引き上げを抑える、という戦略をとる企業もあるかもしれませんね。この辺を地方格差だと地方の方が不満に思う点です。私もそう思います。だって東京でも東北でも、物価ってそんなに変わりませんよね。コンビニの中で売ってるものも、後、ネットでショッピングする方もどちらでも同じ値段ですし、家賃が地方の方が安いって言っても、地方は車が必要だったりするし。なんだかなぁ。

それでは今日はこの辺で。ご来店有難うございました!