飲食店クレーム 食中毒4

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さて、あまり意味のない調査で時間は稼ぎました。
ここからは本社に経過を報告しながら、如何にクレーム元のお客様の怒りを静めるかの対応をしなくてはならなくなりました。
本音では、「本社の人間が替わりにやってくれればいいのに」と思いましたが、
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クレーム対応は、
スタッフ→店長→SV→部長→副社長→社長、の「下から順番に対応する」の法則により、やっぱり最初の責任者は店長なわけで。
深くため息をつきながら、受話器の前で覚悟を決めた。
再度、電話に出たお客様に、調査の結果、原因は良くわからない、と言うことと、他に同様の問い合わせは来ていない旨を伝えたが、当然納得するわけがない。
声には明らかに不満が感じられ、扱いを一歩間違えれば、保健所にでも駆け込みそうな勢いだった。
勿論、わからないと言う事実は事実なので、保健所に駆け込まれても仕方なく、仮に保健所に言ったところで、彼らによる調査が入ったとしても、原因食材は既に消費されており、店としても調査前には十分店内を消毒もするだろうから、結論は出ない。
なので、このクレームに関してはここで対応を終わらせると言う選択肢もある。
しかし、万が一、他の人間から同様のクレームが保健所にいった場合、証拠不十分ではあるが、複数の人間が同じ飲食店の食事が原因で体調を崩したのはその店が原因の可能性が高い、として営業停止処分が下る可能性はある。
なので、このお客様の怒りをどうにかしてここで抑えるかが重要なのです。
ここで、クレーム対応の伝統の技、「同調トーク」を繰り出しました。
それは、早い話が、「当事者と被害者」の関係である状態を、相手の心情に寄り添いながら、「被害者と理解者」の関係に軸をずらす、ある意味せこい技です。
ただ、この技にどれだけ今まで救われたか。

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さて、実際お客様は納得していない状態でした。そこで次のように話が展開します。
「お客様、全く原因がわからずじまいで、当方の力が至らなく、大変申し訳ございません」
まず、原因がこちらであることを謝罪するのではなく、調査結果が出ないことに謝罪します。
勿論、これだけではただの責任逃れなので、どういう風に調べたか、他に同様の問い合わせがなかった事も添えます。
「ただ、お客様の体調、お召し上がりになったもの、状況から考えれば、当店が原因である可能性は高いと思います」
散々自店の可能性を否定したので、お客様の怒りが増幅しそうなタイミングでこの一言。
お客様としては、「あれ?非を突然認めたのか?」と思いますが、よく読んでください。こちらは可能性を提示しただけで、責任を認めておりません。たとえこの会話を録音されていたとしても平気です。
さらに、「本当に申し訳ないです。ただ、お客様の状況から察すれば、当店が原因と思うのは当然ですし、私もお客様の立場だったらそう思います」
はい。ここでも可能性を認めてはいますが、なんか第3者みたいですね。しかも最後の言葉はまるで理解者のようです。
ただ、これがクレーム対応には結構効果的なのです。
次号は、「解決編」

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