飲食店、アレルギー対応の巻

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「アレルギーだけど大丈夫よね?」

アレルギーの対象品目は、一応、現在27品目、とされており、そのうち表示義務のある、特に重篤な症状を引き起こすものとしては、

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“えび、かに、小麦、そば、たまご、乳、落花生”

の7種類。

そのほか、表示が推奨されているものとしては、

“あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイ、牛肉、くるみ、胡麻、鮭、鯖、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、松茸、桃、山芋、りんご、ゼラチン”

ふう、こんなにあるんですね。

これらの食材に対して、アレルギー反応をもつ人がそれらを喫食した場合、体調不良を起こすことはもちろん、アナフィキラシーショックを発症して命にかかわることもあります。2017年に学校給食で子供が先生におかずのお代わりを食べた所、それがアレルギー対応食でなかった為に死に至った例は記憶に新しいですよね。

学校給食でもアレルギー対応をしているし、今やスーパーの惣菜でもアレルギー対応をしている。その事実が、

「だったら当然、飲食店でもそれくらい出来るでしょう。プロなんだから。」

の認識に結びつく訳なんですよね。

ところが、こっちはそのアレルギー対策の料理だけ作る部署がある訳でも、専門のプロがいる訳でも、ましてや完全に隔離された施設があるわけでもありません。

しかも、料理内容によっては加工品を使っている場合もあり、原材料を見てみると、意外な所でアレルギー食材を使用している加工品も中にはあります。そして、その加工品が、完全なアレルギー対策をされてるか否かも表示情報だけではわかりません。

一応、細心の注意は払いますが、手打ちでそばを売っている店では、空調次第でどこにそば粉が舞っているかわかりません。小麦粉も然り。特に小麦に関しては調味料の中でも使用されているものも在る為、完全に隔離せよ、と言われても繁忙時の、しかもアルバイトも働いている最中では、「無理!」なのが本音です。

なので、

「当店では完全なアレルギー対策は出来かねます。その食材を使用しないように努める事は出来ますが、同一調理場なので、混入の可能性はご理解願います。」

と、言うしかないのですが、それで納得してくれればいいのですが、こじれるとここからが一苦労。

「いやいや、それくらいなら大丈夫でしょう。」

「そのものじゃなければ問題ないですよね。」

ここでも同意を求めてきます。だから自己責任でお願いしますよ。

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しかも“苦手なもの”と“アレルギー”を同じものと考えている方も多く、(特に年配の方に多い)実際に来店してみたら、ただ、苦手だっただけ、という方も多いのが現状です。

ただ、こちらとしてはその程度はわかりようも無いので、まずは「お断りする」が基本的なスタンスになります。

その上で、危険性を許容できるのであれば、の条件付で対応せざるを得ないのです。

実際にあった例では、

「万が一乳製品を摂取すると、最悪目に異常が出る可能性が出るって医者に言われたんですけど、大丈夫ですよね。」

と、お子様にアレルギーを持つ親御さんにアレルギー完全対応の予約を持ちかけられました。牛乳系を使わなければいい問題と思われるかもしれませんが、それに準じた乳性分はOKなのか、NGなのか、こちらとしては判りません。その万が一が起きた場合、こちらは責任を取りきれません。

結局、その件については、絶対の保証が出来ないので、お食事を自身でお持込になるようにおすすめしました。

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過敏すぎる、と思われるかもしれませんが、大事が起きれば、取り返しのつかないことになり、残念ながらマスコミはその事故の表面だけしか報道しません。結果、その安易な受け入れが本人にも、お店にも多大なリスクを負わせる結果になる訳で。

この他、接待や顔合せのご予約で、先方がアレルギーを持っているらしく、どうにか対応して欲しいと要求される場合も少なくありません。

ただ、往々にして肝心の幹事さんが先方のアレルギーについて重度を知らないだけでなく、

「後々何かあったらそっちの責任で。こっちはそちらのOKもらいましたからね。」

と、責任回避の為の念押し力が強いです。試しにこちらが「その方は“エピペン”(重度のアレルギーを持っている人なら大体携帯している、万が一のショック状況に対応する為の緊急治療用具)はお持ちですか?」と聞くと、その存在すら知りません。

本当は、何とか期待に応えたいんです。一番不自由な思いをしているのは当のアレルギーをお持ちのお客様ですから。

ただ、全ての飲食店が「完全補償つき」の対応を出来る訳ではない、ということは消費者の方々にもわかって頂きたいのです。

せめて、代表で予約されるのであれば、メンバーのアレルギーの種類と症状の程度ぐらいは把握して欲しいものです。飲食店は責任逃れのスケープゴートではありませんから。

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