クーポン病の弊害

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クーポン。新規の顧客を開拓したり、リピーターを増やす為にお店が発行する何かしら顧客が得をするチケット。紙に印刷してあるものからメールに添付されている画像だったりその形態はここ数年で随分多様化してきたように思えます。

大体がちょっとした値引きや、飲み物や料理がサービスになるといった形態のものがほとんどでしょう。そしてそれらはお会計の時に配られたり、お店に登録されているメール会員の元に配信されたりします。

お店に来てくれるきっかけとしてはそれなりに有効で、多少の集客効果もクーポンの内容次第ではありますがそれなりにあったりします。

それはそれで結構なことなのですが、中には売り上げが低迷するたびに取り敢えずクーポンを発行しているお店も少なくありません。

少しでも来客数をあげようと、ほとんど儲けの無い過激な値引きや、店の人気商品をプレゼントしたりとか、

「とりあえずはうちの店に来てもらおう」と、インパクトの強いクーポンが多くなっているように感じます。10%20%引きは当たり前、強烈な物になると半額まで値引きするものもあったりします。

そのクーポンの考え方は、たとえ半額値引きしても、席が空いているよりお店の利益に貢献するという考え方が元になっています。仮に通常の売り上げが5000円と仮定すると、そのうち30%が原材料費だとすれば値引き分の50%を加えても100-(50+30)=20%の利益が発生するという考え方です。確かに席が空いていればその席が生み出す利益はゼロで、家賃や人件費を勘案すると間違いなくマイナスです。

ところが、席が空いているよりも50%の値引きでも粗利が20%確保出来るので、これ位の値引きは許容できるだろうというのがこの考え方ですが、この考え方を根拠として、かつてフラッシュマーケテイングと呼ばれるジャンル「ポンパレ」に代表される販促手段が脚光を浴びました。

ですが、そのクーポンの有効期間が終わると、クーポン期間の来客数を帳消しどころかマイナスになるほどの低迷期が訪れます。いわゆる反動減というやつです。

これは、「人間は何かを得る喜びより、何かを失う悲しみの方が大きい」というノーベル賞を受賞する程有名な行動心理学理論、プロスペクト理論通りの結果です。人はクーポンなどで得た値引きの利益よりも、それが無くなった時の損したような感覚のほうが強いということです。

故にクーポンの内容が強力であればあるほど、その期間が終わった時の、顧客が損したような感覚はついて回るわけです。

よーく考えましょう。その値引きクーポンは本当に有効なのかという事と、その費用があれば、そのお刺身に板うにを乗せることも出来ます。ただの国産牛を神戸牛や仙台牛などの

ブランド肉に変えることもできます。

料理そのものの商品レベルを原材料費を上げて高めた方が、値引き販促の費用分料理のグレードを落としたお店より好感度は高く、かつ印象に残り、インスタ栄えすらするような商品となるでしょう。だって時期ものならお刺身に殼付きウニを付けてもたったの200円くらいで済んじゃうんですよ。

あくまでクーポンはご来店を促すきっかけ。お店の来店数でお悩みでしたら、まずは基本に戻って商品やサービスを見直してみてはいかがでしょう

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